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昨日8日、
微笑ノ樹
HOHOEMI NO KI
〜円空ニ倣ヘル十一面〜
~11 Faces after Enkû~
for (Left-Hand) Piano
(舘野泉「左手の文庫」委嘱作品/舘野泉氏に献呈)
が、ぶじ世界初演を果たしました。
会場は、小春日和に銀杏が舞い散る上野公園、東京文化会館小ホール。
ちょうど昨年の今頃、
「精霊の海」が初演された、同じ場処。
* * *
今回は、前日に銀座ヤマハの別館スタジオにて、リハーサルをセッティング頂き、音楽の大きな運びから神宿る細部まで、濃密なコミュニケーションを行うことが出来ました。
(舘野泉さんと差し向かいでの貴重な時間は、当方にとって生涯の宝となるでしょう。)
そうして迎えた初演は、初披露の際にはまだ朧げだった全体の輪郭が、勢いのある見事な運びで切結ばれ、30分に迫る大曲がひと時も弛緩することなく、鮮やかに展開されていきました。
一見さり気ない山歌(樵歌)に始まり、滔々とした河の舟歌(筏歌)に到るまで、舘野泉さんにしか有り得ない、(そして円空とその彫像にも通じる、)厳しさと温かさの不思議に共存する豊かな世界が、密やかに、雄大に、次々と開かれていきました。
満員のお客様にも、それはしっかりと届けられたようで、終演後、初披露の折にも増して多くのご反響を頂きました。
* * *
当日配布プログラムには、演奏者の希望による曲目変更の旨を伝える紙片が添えられました。
ジャパンアーツのIさんの細やかなご配慮と
円空記念館のご協力により、「微笑ノ樹」のプログラムノートと共に、同館所蔵の一木三像の円空佛の写真も掲載されました。
そしてそこには、急遽早まった「微笑ノ樹」世界初演に際し、舘野泉さん直々のメッセージが・・・
平野一郎さんの「微笑ノ樹」の譜面を受け取った時、これは日本が真に世界に誇れる立派な作品だと直感した。残された自分の生涯で弾き続け、音の中に潜む「佛(ほとけ)」を掘り起こしていくのだと思った。その世界初演は2013年の5月に東京文化会館で行われると予告されていたが、本年12月14日のベルリンでのリサイタルで初演と決まり、いままた、ベルリンの前に本日、この会場で初演をさせて頂くことに変更させて頂いた。お許し頂きたい。… 舘野 泉
・・・その並々ならぬご覚悟に、ひたすら身が引き締まる思いです。
* * *
ご本人もこの作品をとりわけ大切に感じて下さっているようで、再演の予定もこれから増えていきそうです。(噂によると、本日12月9日も非公開の機会で演奏される、とのこと。)
それでも、演奏にはまだまだ満足していない、これから沢山弾き込んで育てていく、と仰る舘野さん。
機会を重ねる度に、ピアノという樹の裡から、時々で違った表情の佛が、一つまた一つと彫り起こされていくことでしょう。
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©HIRANO Ichiro 2012