師走押し迫る今日この頃。
晩秋に手書き草稿の完成をご報告した委嘱作品、
東春西秋
箏とチェロに依る邂逅
のスコア浄書が去る25日に無事完了。
文明開化の春を迎えた日本と、ハプスブルク朝の終焉近き世紀末の秋に浸るウィーン。彼我の響きの交わりのあわいに、あま酸っぱい春とほろ苦い秋が醸し出される、滋味深い作品が生まれて来ました。
* * *
・・・と完成の歓びを束の間噛み締めた後、休む間なく半徹夜の作業を重ねての本日28日。
初雪ちらつく京都市内、二条城近くの某所にて、来年2月に迫るとある企画のリハーサル。
一部の宿題を除いては、これが今年の仕事納め。規範をたしかに尊びつつも逸脱を心ゆくまで愉しめる素晴らしき共謀者の皆さんと、厳しくも楽しい触発の時をともにして参りました。
とりわけ、本日の朝、初雪到来に合わせるように上がった三日ぶりの委嘱最新作
六人の奏者と不特定多数の聴衆の為の
雪の声
の初試奏、師走の衢(チマタ)を往く様々な音霊(オトダマ)が交錯する7分間は、アトリエでひとり妄想した響きが何倍にも増幅して浮かび上がる、ぞくぞくするような新体験!
様々な面に新たな挑戦を宿す当公演の開催のその日が、ますます愉しみになって参りました。
思えば八幡大縁起初演の昂奮に明けたこの2016年、人並みに悲喜こもごもありつつも、お蔭様で様々なご縁に恵まれ、実り豊かに暮れていくこととなりました。
来年は、遅筆の自業自得が重なり、否が応でも自分史上最高に作曲三昧の一年となる予感。
忙しさに心失うことなきよう、一つ一つの細部に神を宿すべく、命を燃やして参る所存です。
それでは皆様、どうぞ健やかに、良いお年を!
©HIRANO Ichiro 2016