庭の皐月も雨に濡れて、とうとう六月。
去る某日、ギターソロの為の最新作、
綺多羅
QIDÂRA
亡き王朝に寄せる狂詩曲
Rhapsody for Lost Dynasties
その浄書がぶじ完了しました。
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当方の本格ギターソロ第一作は、飛ぶ鳥落とす勢いで活躍を続ける(ほぼ)同世代ギタリスト・大萩康司氏による委嘱作品。
前作「鳥ノ遊ビ」完成直後の3月末に本格着手。
極私的なる由縁の土地を漫ろ歩いては、着想を膨らませ…
春まっただ中に作曲三昧、4月下旬に手書草稿完成。
GW中に大萩氏との音出し打ち合わせを経て、
ぎりぎり予定通り5月中に、ぶじ浄書を果たせました。
刺激と発見に溢れた大萩氏プロデュース《ギターと声 vol.3 with ヴォクスマーナ》 http://www.hakujuhall.jp/syusai/94.html )が行われたハクジュホールに伺ってその響きに聴き惚れつつ、しっかり手渡して参りました。
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この作品は、我が風土の古層にじっとり沁み込んだ西域からの血脈を辿る、もうひとつのシルクロード/ユーラシア横断の音の旅。滔々たる語り・祀り・踊りのさなか、胡乱(うろん)極まる音声が、ギターの響きを突き破って溢れ出すはず。
艸の道、沙の道、山の道、岸の道、濤の道・・・険しくも愉しい空想の旅路をはるばる案内してくれたのは、駱駝の上で四絃琵琶を奏でながら、五絃琵琶に収まるこのお方。
現れては消える王朝の盛衰を飄然と弾き語る穏やかなその姿は、なかったことにされてたまるか、という無数の声を背負っています。
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初演予定は、凡そ半年後、東京某所にて。
詳しくは追ってお知らせ致します。
まずは乞うご期待。
空想の旅路を長らく御供頂いた資料達ともしばしお別れ。
いよいよ、とうとう、交響神樂第二番&第三番作曲の季節です。
ぶじ戻って来られますように…
©HIRANO Ichiro 2017