来る12月1日(土)午後2時30分、
西宮市甲東ホールにて
蜃氣樓〜津上信子フルート・リサイタル
が開催される。
当演奏会の中で拙作、
蜃氣樓 I
SHINKIRO I
-for Unaccompanied Flute-
(2006)
が初演される運びとなった。
この作品は、フルート奏者・津上信子氏の委嘱により作曲したもの。
様々な編成による連作
蜃氣樓シリーズの先駆けでもある。
諸事情が重なり初演がずれ込んだため、結果的に一年ほど熟成期間を置いたが、この度晴れて初演を迎えることになったわけである。
お問い合わせ:0797-21-0557(津上)/
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なおこの素敵なチラシは、津上氏のお知り合いの美術作家・才村昌子さんの手によるもの。
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MASAKO SAIMURA images and philosophy
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所謂「蜃気楼」は、光の屈折により浮かび上がる物理的現象のことを指すが、ここでの「蜃氣樓」はあくまで詩的象徴としてのそれである。
「蜃気楼」は、江戸の妖怪絵師・鳥山石燕の『画図百鬼夜行全図』にも、いわば妖怪変化の一種として紹介されている。
史記の天官書にいはく、海旁蜃気は楼台に象ると云々。蜃とは大蛤なり。海上に気をふきて、楼閣城市のかたちをなす。これを蜃気楼と名づく。又海市とも云。(鳥山石燕著『画図百鬼夜行全図』/角川文庫)
海上に立ち顕われるユートピアの幻影。
例えば、不老不死の仙薬を求めた秦の始皇帝の命を受け、蓬莱を目指した方士・徐福の眼前に、吾が列島は蜃気楼の如く出現したかも知れない。
そしてこの列島から、二度と還らぬ大陸の故郷を望む、徐福の脳裏にもまた。
とまれかくまれ、
海中の大蛤の吐息から、いかなる幻影が浮かび上がるのか、ぜひ会場にて聴き届けて欲しい。
©HIRANO Ichiro 2007