ご無沙汰のお詫びはさておき、取り急ぎ近況を、、、
未だ終わらない夏の日射しに凍りつき、
様々な紆余曲折にも数多の人々から大いなる助力を得て、
初物づくしの新たな大作から今しがた遂に脱稿。
これでようやく長い夏も終わる!という感じ。
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邪宗門
JASHUMON
女声と映像、15楽器によるモノオペラ
Mono-Opera for FemaleVoice, Visual & 15 Instruments
(2010)
が、本日完成した。
初演の日時、出演者等、詳細は追ってご報告する予定。
まずは乞うご期待!
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詩聖・北原白秋(1885-1942)の邪宗門(ジャシュウモン)は、南蛮趣味と西方憧憬に彩られた処女詩集。
そこには童謡風・小唄風・浪漫派風・象徴派風に至る多彩極まる詩が共存し、舶来の文物への憧れが謳い上げられる一方で、失われゆく日本の風土への郷愁と哀惜が滲み出してもいる。
テクストとその行間には、ヴィオロン・ピアノ・フルウト等の西洋楽器や“キリシタン”の聖歌に混じって、舞楽、三味線、祭囃子から野辺送りの鉦までが、多元的に交響している。
モノオペラ〈邪宗門〉は、白秋詩32篇と間奏曲から成る33面の更紗眼鏡(カレイドスコープ)。
葛藤する近代日本の美しき象徴というべき絢爛たる詩空間に、“声”と“音楽”、更には“映像”をもって分け入り、アンビヴァレントな表現世界を軋み響かせようとする試み。
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上演時間約110分、135枚分の総譜と七転八倒の格闘の揚げ句、遂に完成をみた、
とはいえ、
当然ながらそれと同じ分量のヴォーカルスコア及びパート譜作成作業、
ありとあらゆる上演準備に追われるべき、
因果応報の長い長い秋が始まる・・・ということで。。。
とりあえず関係者の皆々様、今しばらくご猶予の程を!
©HIRANO Ichiro 2010