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去る1月31日、京都府八幡市・八幡市文化センター大ホールにて、 HACHIMAN-DAI-ENGI 〜四人の独唱、混声合唱とオーケストラによる民俗誌〜 -Ethnography by 4 Vocal-Soloists, Mixed-Chorus and Orchestra- 初演終了・・・・・・・・・・! とにかく空前の体験でした。 指揮者、四人の独唱、混声合唱、オーケストラ。 200名を超える全演奏者のただならぬ気迫が、丸ごと一体となって作品に注ぎ込まれ、巨大な生命体が蠢き出した様。 何千年の民の産声が束になって響き轟いたクライマックスは、記憶の中で時空がぐにゃりと歪んだまま。 その直後、満場のお客様から迷いなく間髪入れずに放たれたブラヴォーと歓声入り交じるたくさんの叫びが、まだ耳にこだましています。 その時の戦慄と昂奮は一向に納まる気配なく、足掛け八年に及ぶ一連のプロジェクトが終わってしまった喪失感に苛まれ続けていますが、とにかく遅くならないうちに協同頂いた皆さんに御礼を、と以下がんばって綴ります。 今回独唱陣全体を引っ張って下さったのは、平野作品を知り尽くす吉川氏。そもそもモノオペラ邪宗門に始まった当方の本格声楽作品は全て氏からの触発によるもの。今回はじめて新たな素晴らしい声楽家との出会いを導いてくれました。持ち前の天から降りてくる光のような澄み切った声。ピアニシモでもどんな場面でも他に埋没する事なく大ホールの隅々まで沁み透る氏の声によって、八幡大縁起全体が光を放つ輪郭で縁取られたという感じ。第3楽章"秘儀"での祝詞奏上の狂気を孕んだ鋭い叫び、そして〈フィールドノートC〉の降り注ぐ月光のような銀色の声、異様なまでの美しさでした。 アルト独唱:橋爪万里子氏。 シダラウテ・・・と〈託宣α〉にて最初に神の言葉を告げる登場場面、妖気漂う魔の媼の醸し出す雰囲気、素晴らしかったです。深々としたアルトの声域を、決して大味にならない艶のある声で見事に歌って頂きました。普段はこうしたある種挑発的な譜面を見られることが少ないと仰れるように、当初は譜読みに苦労された様ですが、練習の過程でしっかりと本質を捉え、本番には見事にモノにしておられて流石でした。 テノール独唱:大槻孝志氏。 八幡大縁起中の"花"は、なんといってもテノール独唱。世界が進退窮まった時、思いがけず新しい局面を開くトリックスター。第1楽章の冒頭、ハープのハーモニックスに弾かれたクラリネットのロングトーン、それを受け継いで響くはじめの声は、神懸かりの稚児の様に無垢なソロ。大槻氏のファルセットはその声色ひとつで会場全体を惹きつけ、ふと元来の声に戻ると鮮やかなクレッシェンドで一瞬にして別世界の大扉をどーんとおし開く。一方で第4楽章中盤の"酔歌"では見事な豹変っぷりでご酩酊の祭男に。でもそれが決して下品にならない。祭日の神酒に浄められた恍惚、凜凜と輝くその存在感は、まさに聖愚者そのもの。終盤の殺人的ハイトーンの連続も怯まず挑み響かせて下さり、当方自身も大槻氏の輝かしいテノールの魅力、そして不言実行の真摯な心意気に惚れ込みました。 バス独唱:片桐直樹氏。 八幡大縁起のバス独唱は、道開きのテノールの後を悠然と登場する、威厳と風格ある老賢者の様な存在。〈託宣β〉に登場するノリゴト、暗闇のなか地の底から這い出てくるモノモノしい音声、異様な静けさを纏った片桐氏の呻吟は、それだけで幽玄境を現出しました。ここは練習の時点からどうしても一人の声と思えない不思議な響きがしていて、未だに謎のまま。第3楽章の陀羅尼地獄の先導のオドロオドロしさ、そして第4楽章クライマックスの前にバスが率いる朗々たる神歌は、決然と新しい世界へと人々を率いる矍鑠たる長老(翁)の風格で、圧巻でした。 八幡大縁起の本当の主役は、やはり群れ集う民そのものとしての混声合唱。一般公募の時点では、実は80名くらい集まれば良い方では、と囁かれていたのですが、蓋を開けてみればなんと120名を超え、結局132名という大合唱団となりました。作曲者の書いた手加減なしの譜面に、皆さんはじめは唖然としておられたようですが、藏野先生はじめ合唱指導陣、ピアニスト諸氏の絶大な導きを得て、ひとあしひとあし作品世界へと入り込み、最後には完全に作品の中に生きる無数の忘れられた民の声そのものとなって下さいました。この合唱団の半年の歩みは、八幡大縁起の物語中で民衆自身が目覚めて行く過程と、恐ろしいまでにシンクロしていました。シダラの民を実は焚き付けたかも知れない謎の扇動者達たる若きボディパーカッション隊が加わるに到っては、隠れた歴史の真実をありありと示唆するようでした。楽譜に必死で食らいついた半年の最後の瞬間、楽譜を投げ捨ててシダラ打つ皆さんの姿は、1000年前志多羅神上洛を歓呼する解放された民衆そのもの。リハーサルに立ち会った際には、必ずたくさんの方が八幡大縁起への愛を語りに来て下さり、中には書道の稽古で師匠に呆れられながら書いたという陀羅尼の写経を見せて下さる方まで。そうした一つ一つの事に出逢う度、作曲者の孤独は大いに癒されました。 その混声合唱を見事に指導して下さった、4名の豪華すぎるトレーナー陣。ソリスト級の皆さんが身を粉にして合唱団を率いて下さいました。作曲者が横から口を挟むのはやりにくくてしょうがないはずですが、時にそれを上手く受け流しつつ、大切なところは確実に共有して、一音符たりともなおざりにせず、深く作品の奥へと皆を導かれました。最後にはトレーナーの方々全員がエキストラとして合唱に参加、声そのもので合唱団を導いて下さいました。 練習ピアノ:小林千恵氏、稲葉由己子氏、田中綾氏。 半年に亘る合唱練習を陰で支えたのは、小林千恵氏を筆頭とする3名のピアニスト。とりわけ小林さんは恐るべき読譜力を駆使して、時に指導陣の先生方にも的確なアイデアを示しつつ全うされました。オケ合わせ以降は、急遽決まったマエストロ稽古の傍ら、全く異なるオケ内ピアノパートを担当、難しいアンサンブルをこれまた鮮やかな手際で。でも発せられるピアノの音の端々に、作品への愛着と敬意をしっかり込めて下さったのが何より嬉しかったです。稲葉さん、田中さんのお二人は、普段の練習ピアノに加え、その谷間に行なわれた沢山の自主練習を設定・指導されました。合唱団員の皆さんに寄り添って多くの時を共にし、その密かな要望を指導陣に橋渡しして、揺るぎない一体感を築いて下さいました。本番では合唱団員として群衆の中へ。合唱団の和やかな雰囲気はこのお二人のお力も大いに作用したはずです。 管弦楽:八幡市民オーケストラ。(団内指揮:安藤亨氏) 前作八幡縁起からの協同者、八幡市民オーケストラは、プロの指導やエキストラに頼らない気骨あるアマチュア・オーケストラ。とりわけ今回ほとんどのお客さんが、アマチュアである事を最後には完全に忘れたはず。取り組みの真剣さ、サウンドの飽くなき追求、声楽への配慮、そして作品への愛。どこをとってもプロ顔負け、むしろ音楽へのプロフェッション(信仰告白)という意味ではそれを凌ぐのでは?とすら。今回の八幡大縁起成功は、ひとえに八幡市民オケへの音楽監督・作曲家の信頼を拠り処とするもの。作曲者の望む表現にそれぞれの奏者が応えて下さる、その打てば響く調子は、もはやツーカーという感じ。それにしても素晴らしいオーケストラです! 副指揮:高谷光信氏、滝本秀信氏。 藏野先生総指揮の元、副指揮をご担当されたのは、信頼厚いこのお二人という贅沢な配陣。見事な連携を成しつつ、それぞれの視点から作品を掘り下げ、指導陣と共に合唱団を育てて下さいました。高谷氏のボディパーカッション練習、滝本氏の初通しなど、合唱練習の大切な節目をしっかり築いて頂いた事、感謝です。 音楽監督&指揮:藏野雅彦氏。 そして以上の演奏者・指導陣を纏め上げた音楽監督・藏野先生。そのお人柄と確かな経験から様々なアイデアを注ぎ込んで、公募合唱団の不安を不思議に取り除き、作曲者の注文も見事にエッセンスと化して音に活かして下さいました。背負われた重圧は如何許りかと想いますが、本番で生き生きと踊るように楽しんで指揮される藏野氏の姿が、全ての人の元気を奮い起こし、音と心を結んでくれたのだと確信しています。 最後に、音楽祭運営に携わられた皆様、八幡市文化センタースタッフの皆様。 2010年1月八幡縁起初演後から動き出した大縁起計画、一時は頼みの綱の助成金が下りず無期限延期になり絶望的になったことも。そんな時も関係者の皆さんが妥協でお茶を濁すことは一切なく、ひたすらに当初の構想での実現を模索し続けて下さいました。実現が決まってからは、隅々まできめ細かに心を砕かれ、万全にサポートして下さいました。あらためて感謝申し上げます。 なお初演には、関西一円はもちろん、東京その他日本各地から八幡大縁起を求めてお越し頂きました。 実にタイムリーなことに国宝指定が決まった石清水八幡宮の田中恒清宮司さん御一行もご臨席賜り、八幡縁起に続いて大いにお気に入り頂いたと伺っています。 また東京からお越しになった反骨の音楽評論家・谷戸基岩氏は終演後楽屋裏に駆けつけられ、「真の日本民衆の芸術を、良くぞ書いて下さった。本当に嬉しい、有難う!」という熱い言葉を掛けて下さいました。 皆さんから発せられた醒めやらぬ想いが、聴かれなかった多くの人の心に届き、動かし、新たな実を結ぶことを願って止みません。 演奏者はじめ全ての関係者の皆様、初演成就、途轍もなかったです。心から敬意を表します。 ご来場の皆様、その瞬間の爆発的な反応に、大きな歓びを頂きました。 作曲家冥利に尽きます。 いつかこの八幡大縁起が、いかなる宗教の人も無宗教の人も、出自も立場も信条も越えて、いま生まれた新たな"祭"として、私達の風土に根を深め、世界に向かって種を飛ばす事を希いつつ。 ※公演アンケートより。
by uramarebito
| 2016-02-03 00:32
| 演奏会
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