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というわけで・・・
「迦具夜」京都初演、ぶじ成就。
ハープと歌の速海ちひろさん、
フルート四種とその他サプライズの森本英希さん、
二人の奏でる響きと調べが
まさに月の光のように深々と染み込んで行きました。
かぐや姫昇天のシーンでは心臓バクバクの作曲者までが
我を忘れ陶然となるような美しさ。
素晴らしい初演となりました。
「邪宗門」「蜃氣樓●協奏曲」で物狂いを共にした笛仙人・
森本さんはさておいて、
速海さんの演奏会を生で聴くのは、
実は今回がはじめて。
後半頭の「迦具夜」に至る前半プログラムを聴いていると、
今回の新作による速海さんの挑戦が
如何にこれまでの枠を破る大胆な変化であるかを思い知りました。
もしや既にたくさんおられる固定ファンの方たちからは
「うちらのアイドルに何さしてくれとんねんワレ」
と総スカンを喰らうのではと内心危惧&覚悟を抱きましたが、
終演後おおくの見知らぬ方々から直に頂いた感想からは、
お二人の新たな境地を驚きと喜びをもって受け止めていただけたとわかり一安心。
三人でのささやかな打ち上げでも、
さあこれからどんな面白い事をしようかと意気軒昂、
作曲者としても大いに手応えを得ました。
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なお今回の初演に至る過程では、
作曲家の老婆心から、
あまりの無茶振りに速海さんが音をあげられるのではと心配し、
一様でない平野の声楽書法を知り尽くす
吉川真澄さんのご助力を仰ぎました。
数回のレッスンもしくはセッションにて、
如何なる秘訣が授けられたのか、
当方は知る由もありませんが、
陰の役回りを快く引き受けてくださった吉川さん、
その提案を真っ直ぐに受け止めてくださった速海さんに、
あらためて敬意を表します。